【私の一枚】

　テレビ局のアナウンサーの仕事にとどまらず、「めざましクラシックス」というコンサートの司会や指揮を行い、自ら歌うこともある。そんな僕の原点は、中学2年の時、学芸発表会の演劇部の出し物で主役を演じた舞台にあります。

　僕はもともと声を使って表現することが好きでした。小学生の時は国語の教科書の朗読が得意でしたし、日直の仕事で朝に紹介する新聞記事を、相棒とニュース番組仕立てで発表したり。またNHKのキャスター磯村尚徳さんに憧れ、卒業文集に「ニュースキャスターになりたい」と書いていたんですよ。

　そんな僕が中学校で演劇部に入ったのは、国語の担当だった栗山宏先生との出会いからです。僕は先生の授業がとても好きでしたが、2年時に国語の先生が代わってしまったんですね。それで栗山先生と接点を持ちたくて、先生が顧問を務めていた演劇部に2年生から入ったんです。

　30人弱いた部員は女子ばかりで、男一人で入るのは気恥ずかしく、友人を勧誘し、男子5、6人を引き連れて入部しました。すると僕のことを面白いと思っていた栗山先生から、9月の学芸発表会の劇の主役に抜擢（ばってき）されました。その作品は加藤道夫さんの「あまのじゃく」という児童劇。民話の「あまのじゃく」を劇中劇として演じる中学生たちの話で、それに栗山先生が斬新な演出をして、この学芸会以降も東京都大会などで大変話題になり、先生が日本児童演劇協会賞を受賞した作品です。僕はあまのじゃくを演じる軽部くんという中学生役で主役でした。

　劇の中で、主役を降ろされた僕が、客席から「こんな劇はつまらない」といって難癖をつけ、舞台を乗っ取って……という話に信憑（しんぴょう）性をつけるために、学芸会の前に「軽部が主役を降りたらしい」といううわさを学内で流しまして（笑）。本番では、客席から僕が舞台に文句をつけ、舞台に上がっていく。それを芝居か現実か見守る客席から拍手が起きる中、夢中で演じ、衝撃のクライマックスまで虚実の感覚が一瞬わからなくなるほどのめり込んだ。その感覚と、拍手と歓声の気持ちよさは今でも覚えています。

　この体験で声の表現をもっと追求したい気持ちが強くなり、アナウンサーを志しました。入社後、最初の9年はワイドショー「おはよう！ナイスデイ」の報道・情報畑で、1年目から日航機墜落事故の取材などハードな現場を数多く経験。その後「めざましテレビ」が始まる時に、エンタメ担当として蝶（ちょう）ネクタイとサスペンダーをした軽部が誕生したのです。正直、それまではフジテレビでもっとも地味なアナウンサーでしたが、あれで一転。自分としてもこの役割がしっくりきた感触がありました。それから多くの取材を行い、仕事が局アナの垣根を超えて拡大していったことがとてもうれしいです。

　この写真を見るたび、今の自分があるのは栗山先生のおかげだと感じます。先生は僕をずっと応援してくださり、残念ながら2010年に他界されました。その少し前に先生の家で語り合い、先生が僕のいいところを言ってくださり、余命を知る二人で男泣きしたことが最後の思い出です。現在アナウンサー生活31年目になりますが、今後も現場で、年を重ねたからこその存在感を発揮したいですね。

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かるべ・しんいち　フジテレビアナウンサー。1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。早稲田大学高等学院時代から男声合唱団に所属。85年フジテレビに入社。「おはよう！ナイスデイ」でリポーター・司会者などを経験。94年から「めざましテレビ」のエンタメコーナーを担当するなど、現在も幅広く活躍中。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170307-00010000-asahit-ent

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キモいんだよ鼻声ブサイク

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もろ、あっちの顔だよね。この人。

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